選者=三宅やよい
昨日は天皇賞だったので
東京競馬場へ。期待のウオッカをはずして穴馬が来たので、
波乱と言えば波乱だったが、考えれば秋の天皇賞で
一番人気がすんなり勝ったことはないのだ。
そう思えば、勝ち馬のラッキーナンバー
「2」を入れるべきだったと結果として思う私であった。
「結果」と言えば忌日俳句も全て結果の世界ではある。
著名俳人の多くは、自分が死んだら「◎●忌」にしてほしい、なんて
今から準備している人も多いかもしれないけど、ほとんどは
その心配は杞憂に終わり雑魚のごとく一掃されるだろう。
多くの俳人の忌日より、今日でいえば、
天皇賞のレース中骨折しあえなく安楽死となった
サイレンススズカ思うと、今でも胸が熱くなる。
〔今週の一句〕
タルホ忌の目から☆出すお月さま 猫髭
同郷のタルホは私にとって近いようで遠い。
少年愛の世界、と言ってもあのマントヒヒのような容貌で、
と、思って以来作品は読んでいない。
だからまったくわからないのだけど、なんとなく感じを
つかんでいるようでおかしい。
●
冥土での恋や事業や年尾の忌 野口裕
年尾は実直な二代目ホトトギス番頭といった印象。
虚子の選を引き継いだあとは
さぞ苦労したことでしょう。冥土でこそ
のびのび幸せかも。
蟀谷に梅干貼つて粂子の忌 猫髭
こめかみに梅干し、ずいっと後ろに下げた襟元。
長屋のおばあさんの図ですな~。
浦辺粂子の声が響くようで渋い。
■三宅やよい みやけ・やよい
1955年神戸市生まれ。現代俳句協会会員。「船団の会」会員、「豆の木」に参加。句集『玩具帳』『駱駝のあくび』。清水哲男『新・増殖する俳句歳時記』木曜日担当。
6 件のコメント:
>多くの俳人の忌日より、今日でいえば、天皇賞のレース中骨折しあえなく安楽死となったサイレンススズカ思うと、今でも胸が熱くなる。
そうですね。どうして、人の死より犬・猫・金魚の死の方が哀しいのか。うちのカミサンは猫がいなくなっただけで俺が死んでもこんなに身も世もなく嘆くことは絶対にねえなあというほど泣きまくりました。言葉が話せないから、その分、素朴で直截的な会話を沢山してきたからかもしれない。
それにしても「著名俳人の多くは、自分が死んだら「◎●忌」にしてほしい、なんて今から準備している人も多いかもしれない」というのは本当だとしたら不気味。人間滅亡教の教祖深沢七郎は、死んでも何かを残したいというのは意地汚いと軽蔑していたのを思い出します。
>著名俳人の多くは、自分が死んだら「◎●忌」に
坪内ネンテン氏は、河馬忌で決まり、として、金子兜太氏は、銀行員忌とか?
>猫髭さん
>言葉が話せないから、その分、素朴で直截的な会話を沢山してきたからかもしれない
ホントそう思います。私は人間の言葉で絶え間なく犬に語りかけて家族に気味悪がられていますが、気持ちは通じていると信じています。死んだときのことを考えると今でも泣けてきます。ちなみに
『犬猫と蔑して言うが犬猫は 一切無所有の生を全うす』奥村 晃作
という短歌が好きです。
>10Keyさん
「銀行員忌」はちと味気ないかも…
金子兜太の銀行時代の部下から、「まだ死なせないでください」とメールが来ました(笑)。
「梅咲いて庭中に青鮫が来ている」から「青鮫忌」。
狸の置物みたいだから落語に引っ掛けて「狸賽忌」とか。
あ、部下の人に怒られる。
「男根忌」とか。
↑↑↑
いいかも。
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