選者=上田信治
現代の作者の忌日俳句というと、近年は特に「子規忌」の句が作られることが多いように思うんですが、現代から見た俳句の神様ってことなんでしょうかね。ドラマチックだし。「虛子忌」は、なんだか気安く、親戚あつかいで作られている気がします。逆に「芭蕉忌」は、歳時記なんか見るかぎりは、あまりいい句がないですなあ。
〔今週の一句〕
茶碗蒸ジョナサン・スウィフト忌だと思う 野口裕
そんなことを思う人は、いないだろうと思うんですが、「茶碗蒸」というのが、なかなかに、なかなかかと(忌日ならなんでもつきそうですが)。
●
アラカンの忌や補陀落の海の見ゆ ameo
高倉健といっしょに、網走から逃げて逃げて、西の彼方へというイメージでしょ うか。
テーブルの傾いてゐるセザンヌ忌 露結
鳥どちの頭の小さしカザルス忌 ameo
ちょっと昔のモダニズムみたいで、懐かしい感じがしてよかったです。
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。ブログ「胃のかたち」
0 件のコメント:
コメントを投稿